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長野県上田市前山寺

長野県上田市の南西に、塩田平(しおだだいら)と呼ばれるこぢんまりとした盆地がある。千年を超える歴史を持つ寺院や、鎌倉から室町時代にかけて造られた仏塔、仏像など多くの文化財が点在することから、「信州の鎌倉」とも称される地域だ。しかし塩田平には、鎌倉にはない魅力的な風景がある。緩やかな起伏とともに伸びやかに広がる大地と、四季折々美しい花をつける草木。そしてそれを守るように、四方で高い峰を連ねる山々だ。

そんな塩田平の高台に、平安時代初頭の弘仁(こうにん)年間、弘法大師によって開かれたとされる独鈷山前山寺(とつこさんぜんさんじ)がある。弘法大師が独鈷(金属性の法具)をもって加持をし、水を湧出(ゆうしゅつ)させた話は日本各地に残る。現在、奥の院のある弘法山は同様の説話から昔は独鈷山と呼ばれ、それが前山寺の山号の由来である。弘法山にはまた、弘法大師が独鈷を埋めたという話も伝わる。

現在の独鈷山は、弘法山を前衛とする標高1266mの山である。群馬の妙義山を思わせる峻険な稜線を見せ、峨々(がが)と聳(そび)える姿は、塩田平でひと際目を引く存在だ。

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